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2009年6月12日 (金)

絶対他力と自力2

私は宗教家ではないし、特定の信仰を持たないので、宗教について語るのは、専門家や信仰心の篤い人に対して気が引けるのだが、治癒について語るには、宗教は避けては通れない。

また、信仰を持たないと言っても、何かしら「神のようなもの」を敬い、信じたいような気持ち、つまりは信心が幾ばくかはあるので、そういった信心の源は何かという好奇心は常にある。
それで結構、宗教書を読むのも好きである。

宗教も医療も共に、根源的には「死への想い」を見つめることから始まる。
神様はイジワルで、人間が一番知りたいことは、死なないと分からないようになっている。
唯物論だろうが、唯心論だろうが、この「私」は、今、ここにいると思っているので、ここにいなくなる自分に対して、何とも言えない不安を感じるのである。

死は無であり、生きているものの体験としては不可知なものである。そうでありながら知らないでは済ませられず、生きているものとしては避けては通れないものとして認識しているから、その不安を克服するのは難しい。

不安を生ぜしめるのは、無についての抽象的認識ではなく、無が人間の存在の一部であるという自覚であるということを意味するのである。不安を生ぜしめるのは、万物のはかなさを認めることによるのでも、あるいは他者の死を見ることによるのでもなく、それらの出来事がわれわれ自身死すべき者であるという絶えず人間に潜在する意識に対して影響を与える、そのことにあるのである。(「生きる勇気 (平凡社ライブラリー) 」パウル・ティリッヒ著)

こういった存在論的な不安である「無」の克服、あるいは「無」との一体化、それが宗教の真髄であろうし、本来の医療もまた、単なる治療に留まらない癒しとして存在する。
それは、よりよく生きるためのものであるのだ。

こうして宗教と癒しという接点を見つめて行く中で、悩ましいのは、というより一人勝手に悩んでいたのが、自分の解釈が果たして妥当なのかということであった。
これは本当は考えても仕方がない。ひとそれぞれ意見は異なる。それこそ言語ゲームに参加して初めて同じ世界を共有する。

私が最近親鸞を読むようになったのは、親鸞自身が、経の原文をかなり自由に読みかえて自分の理解に合わせていると知ったからである。(「パウロ・親鸞、イエス・禅 」八木誠一著)

こちらから行くんじゃなくて向こうから来るんだ。これは親鸞聖人がやった、大胆きわまる乾坤一擲の読み替えですね。それは親鸞聖人の実存を通している解釈です。自分の全身を通して、こうでなければ自分のような者は助からないというんです。お経が嘘を言っているはずがない、しかし、自分には回向する力はない。それならば問題はお経の読み方にあるに違いない、そういうことですね。
(「君自身に還れ―知と信を巡る対話 」大峯顯・池田晶子著)

それは向こうから来て、自身の内におのずと現れる!
キリスト教の解釈でも、「神を観ること」を人間の側の意図的な営みによって論理必然的に成立することではなく、神からの恵として一方的に与えられることである、という視点もあるようである。(「神を観ることについて 他二篇 (岩波文庫) 」ニコラウス・クザーヌス著 など)

今更ながら思えば、自然治癒力というのも、自然と(おのずと)備わっているものであり、おのずと発動すべきものであるのだ。
そしてそれは、より良く生きるための何よりの恵みなのである。

ともあれ私の解釈は、当然、私個人の体験から生じている、要は我田引水だけれど、これはもう仕方がない。
治癒にも人によって様々な意味があるけれど、元ガン患者兼ホメオパスとしての解釈の仕方を共有するというのも良いのではないだろうか。
たくさんの流れが、一つになる所が見えてくるようであれば。
念仏と禅とキリスト教のように。

私が出会った、ガン<治ったさん>たちは、自分の体験に照らし合わせて、様々なテキストを自分に合うように読み替えたり、自分に合うものをうまいこと見つけて、自分を勇気付ける術を身につけた人たちでもあるような気がする。
でも、おのおのが辿り着いた場所は、そんなに遠くないどころか、やっぱり同じ道にやって来ているようなのである。

というわけで、乱筆・暴言は続く。

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