セルフ・ケア(ホメオパシー)

2006年10月17日 (火)

セルフケア4

「レパートリーは完全ではない」

この話題は、別にセルフケアの方に持ってこなくても良いのですが、ホメオパスやホメオパシー学生以外の人が、結構レパートリーを使っているようですので、あえて書いてみたくなりました。

私はセルフケアにおいては、レパートリーを使わない方が良いと考えています。
むしろ、セルフケア用として一般向けに書かれた本を参照すべきと思います。

理由の一つは、そういう本に書かれている範囲の疾患までをセルフケアの対象とすべきという考えがありますが、最大の理由は、「レパートリーを使いこなすのは難しい」ということです。

なぜ難しいか?
まず、レパートリーの方法は何通りも技法(?)があります。それらは得てして、ケース・テイキングの方法論と連動しています。
これを読んで全然ピンと来ない人は、大概レパートリーを使いこなせないと思ってください。

あなたは、いくつのRubricを取りますか?
既にお気付きになっている方も多いと思いますが、Rubricを多く取れば取るほど、殆どの場合、ポリクレスト(Polycrest)と呼ばれる「大きな」レメディばかりが上位に来る事になります。
20も30もRubricを取れば、結果は大体、Sulph(サルファー)、Lyc(ライコポディウム)、Calc(カル・カーブ)、Sil(シリカ)、Phos(フォスフォラス)、Puls(プルサティラ)、Lach(ラケシス)・・・あたりになってしまいます。
大体何個のRubricを採用するかについても、色々と方法論があるのです。

あなたは、自分の症状や状態にピッタリ合ったもの(Rubric)を、レパートリーの中で全て発見できましたか?
レパートリーは完全なものではないのです。
あなたが感じていること、持っている症状、全てがレパートリーにあるわけではありません。

そもそもRubricは、色々なレメディが共通して持っている症状を、辞書の見出し語の様な形でまとめたものですが、この編集過程あるいは翻訳過程で、個別性が若干ないし相当失われます。
例えば、Complete Repertory 2005というレパートリーに、「MIND-DANCING-desire for」というRubricがあります。
「踊りたい」とか「踊りたい欲求」といった症状・状態ですね。
ここには、60個のレメディが載っていて、その内最も強い(Bold)のは、Carc(カシノシン)とTarent(タレンチュラ)です。
さて、この2つの「踊りたい気持ち」の違いが分かりますか?
何ゆえCarcの人は踊りたくなるのでしょう?何ゆえTarentの人は踊りたくなるのでしょう?
あるいは、Sep(セピア、シィピア)の踊りたい気持ちは、どこから出てくるのでしょう?
それぞれバックグラウンドが違うのです。
ただ「趣味がダンスです」というだけで、このRubricsを採用するのが適当かどうかは、単純に判断できませんし、採用しても、出てきたレメディの違いを区別できなければ意味がありません。
Rubircは便利なものですが、それ単独では重要な情報が失われているのです。

つまり、レパートリーは辞書としての語彙数も、それぞれの見出し語(Rubric)の情報も不完全なものということなのです。

それでもレパートリーはなくてはならないツールです。
ホメオパシー学校では、これをどのように効果的に使うかを学びます。
逆に言いますと、そういった事を知らずに使うと、大きな間違いのモトともなり得ます。
ですので、学校等でレパートリーの使い方を学んでいない人は、セルフケア用の本を読み込んで、そこに書いてある疾患についてだけセルフケアの対象にするというのが、安全な方法だと思います。

それらの本には、セルフケアに良く使われるレメディのちょっとしたマテリア・メディカと、疾患別に良く使われるレメディが載っているハズです。
まずは、これらを「使いこなす」ことを目標にしてみてください。
使いこなすとは、「使わないこと」を学ぶことでもあります。
これらの本を参照して、「おぉ~、バッチリ!このレメディ象だよー」と腑に落ちる状態でなければ、レメディを使うのを待ってください。
少なくとも、何回もリピートするのは避けるべきです。

じゃあ日本語の本では、どの本がいいんだ?と言われると困っちゃいますが、こういった注意点(レメディの選び方、レメディを使う・使わない状況等)もちゃんと書いてある本を選ぶべきです。
レメディーは安全で副作用がないから、どんどん使えなんて書いてある本は、やめた方がいいですよ。無いと信じてますが(笑)

英語の本では、
「The Complete Homeopathy Handbook」Miranda Castro著
「The Family Guide to Homeopathy」Andrew Lockie著
あたりが良いと思います。
これらには、疾患別のセルフケアの注意点(ホメオパシー以外の)についても書かれています。

2005年11月27日 (日)

セルフ・ケア3

【Mission Impossible1】
世界の経験豊かなホメオパス達が、最も困難だと考えている患者、それは自分自身です。数多くの患者さんを治療し、古典から現代に至る文献に精通し、他のホメオパス達と情報交換し、常により良い方法論を探求している・・・そんな彼らが、自分のSimillimum(根本体質レメディ)を見つけるのは大変困難だと感じており、学校では生徒達に自己処方を禁じはしないものの、「やめておけ、それはムリだよ」と言うのです。
恐らくは、殆どの人が自分のSimillimumを自分で見つけようと、1度は思ったに違いありません。偶然見つかったというラッキーな人もいるかもしれませが、大多数は諦めることになったのだろうと思います。
ちなみに私も無謀にも挑戦して、諦めた人間です。

なぜ我々はSimillimumを自分で見つけられると思ってしまうのでしょうか?
「自分の事は、自分が一番分かっている。」
「セッションでも、結局自分の事を自分で説明するのだから、自分で処方しても同じだ。」
「レメディは安全だから、うまいこと当たるまで、色々と試しても大丈夫だ。」
「ホメオパスが使うツール(マテリア・メディカやレパートリー)は手に入るから、それを使えばホメオパスと同じように出来るだろう」
こういった心理が働いているのではないかと思います。
私は、こうした「可能性」について100%否定する気はありません。世の中には色々な能力・資質を持った人がいますので、誰かしら達成することもあるでしょう。
しかし一般的には、よほど運が良くない限り、ホメオパスが処方するようには、自分に処方は出来ません。

自分の事は自分が一番良く分かっている。これは真実ですが、同時に自分の事は自分が一番分かっていないというのも真実です。
自分について抱いているイメージと、周囲の人のあなたについてのイメージが食い違っていることはありませんか?
人間には意志やエゴがあります。セルフ・イメージにも、これらは影響しています。我々が抱いている我々自身の姿は、意志やエゴの影響の下に認識しているのです。
我々は、自分を客観的に観ているつもりでも、それを観ているのは我々の主観です。こうした心のあり様を、極限まで研ぎ澄まし、あるいは一切を空にして、自分を観ることが出来れば、本当に自分自身を客観的に観ることが出来るかもしれません。
お釈迦様になる。これが一番の近道でしょうか?しかしこういう人には、レメディは必要ないでしょうね・・・(^ ^;

レメディを判断する時に、通常マテリア・メディカを読むと思います。
セルフでSimillimumを探す時には、この作業は「占いの本を読むようなもの」です。

あなたは長年に渡って気になる症状があります。
レメディを自分で探そうと思い立ちました。
身に覚えのある症状からレパートリー等を参照して、いくつかレメディの候補をピック・アップします。最終的に3つに的を絞りました。そしてマテリア・メディカを読んでみます。
1つ目のレメディについて書いてある事は、どうも自分に当てはまらない気がします。
2つ目を読んでみます。レパートリーで参照した症状はもちろんの事、それ以外にも色々な記述があります。幾つかは自分に当てはまっている様です。「なるほど、言われてみればそんな面もあるかも」そんな記述もあります。
3つ目も読んでみます。気になる症状は当然そこにあります。しかしMindの部分はどうもしっくり来ないな・・・再度2つ目を読んでみます。
そこに書いてある事が、段々もっともらしく思えてきます。やっぱり2つ目だな!
あなたはそれを飲んでみます。
3週間ほど経ちましたが、何も起きません。ガッカリ~!
あなたは気を取り直して、またレメディを探し始めます。
再度レパートリーを参照してみます。今度は、参照する症状を増やしてみました。自分の性格や感情を分析してMindのセクションを多めに参照してみます。ホメオパシーは、精神的なことを重視することを思い出したからです。
今度は、レメディの候補を5つにしてみました。
1つは、前回飲んだレメディでした。念のため再度マテリア・メディカを読んでみます。「何でこれを飲もうと思ったのだろう?」不思議な感じです。
続けてマテリア・メディカを読みます。2つは、ぜ~んぜん違ってそうです。
残りの2つを読んでみます。どちらも当たらずとも遠からず。帯に短し襷に長し。
これらについて、あなたは別のマテリア・メディカを読んでみます。
1つについて「このレメディは、○○のタイプの女性に多く処方される」と書いてあります。
なんだ、ピッタリ私じゃないか!!!しかし飲んでも何も起こりません・・・
あなたは必死にマテリア・メディカを読み漁ります。
そうこうしているうちに、持病の1つである頭痛が酷くなりました。
あなたは心当たりのあるレメディをいくつか参照してみます。今まで候補に挙がったレメディは、もちろん頭痛をカバーしています。
今まで飲まなかったレメディの中に、今の頭痛の症状にピッタリのものがありました。どういう訳か、他の部分の記載も今は自分に当てはまるような感じがします。「うん、実際こういう部分も私にはあるからな・・・」
あなたはそれを飲みます。やっぱり何も起きません・・・

どうでしょうか?ピッタリこの通りでなくても、結構思い当たるフシがありませんか?
マテリア・メディカを読む時、そこから感じることには、その時のあなたの心理状態が反映されます。読む時・状況によって、同じレメディでも感じが違ってきます。
現在気になることを投影しているレメディに出会うと、そこに書いてあることがもっともらしく思えてきて、最後にはそれを正当化しようとする心理が働くことも多いでしょう。
これの裏返しで、人によっては、理想のセルフ・イメージに合わないレメディを排除する傾向もあるようです。「そんなはずはない」という訳です。
またマテリア・メディカをたくさん読むと、段々といくつかのレメディが似通って見えてきます。そしてそれは、読めば読むほど混乱して行きます。ある時「分かった!これがこのレメディの特徴だ。」と思っても、別の本を読んだり、人からの情報を聞いたりすると、「やっぱり分からん・・・」となるものです。

占いを読んで、幾つかの項目、特に自分が一番気になる部分について当たっているので、その他の部分も自分に内在していると考え、「自分はこういうタイプの人間なんだ」と定義付ける心理と似ています。(ちなみに私は占い好きですが・・・)
これが自己処方の心理学です。もちろん他人に処方する時も起こりうるのですが、なぜ自己処方の場合に陥りやすいのでしょう?
慢性病や根本体質のレメディを選ぶ時には、精神的・感情的な部分の比重が、急性病の場合よりも高くなります。場合によっては身体的な症状を殆ど無視する時もあります。
しかし上記のように、自分自身の精神面・感情面の分析は1つの要素(症状)でも難しい上、レメディ選択の時には、いくつもの要素を考慮して1つのレメディ像に統合しなければなりません。
これはホメオパシーを勉強した人は良く知っていますが、逆に言えば、よく勉強して、精神・感情面の要素をレメディ選択に織り込もうとする人ほど、この罠に陥りやすい訳です。
「じゃあ、身体的なことに的を絞ってレメディを探してみたら?」と思われるかもしれませんが、これもまた、ある程度勉強してマテリア・メディカやレパートリーを参照された事のある人は、この方法ではうまく行かないというのはご存知かと思います。

ハーネマンは、「Unprejudiced observerになれ」と教えています。偏見のない観察者にならないと、適切な処方は出来ないと言っている訳ですが、これはつまり大概の人は、ある程度の偏見を持っているという前提に立っています。
やっぱりお釈迦様になるしかないんです(^ ^)

セルフ・ケア2

【セルフ・ケアの心得~Step-by-step】

1.根本体質や慢性病の自己処方はしない
2.ホメオパシーで根本体質や慢性病の治療中は、まずホメオパスに相談する
3.Simillimum(または根本体質レメディ)が分かっている時は、最初にSimillimumを飲む
4.病名や1つの症状だけでレメディを選ばない
5.特徴的な症状が現れるまで、レメディを選ばない
6.ポーテンシーは30Cまで
7.複数のレメディを、同時に服用しない
8.3つほどレメディを試しても効かない場合は、ホメオパスに相談する。
9.現代医療の薬の使用も常に考慮に入れる


セルフ・ケアで留意することを、リスト・アップしてみました。
この先記事を書き進むにつれ、若干改訂を行うかもしれませんのでご了承下さい。

2005年11月26日 (土)

セルフ・ケア1

【レメディは安全か?】
日本でホメオパシーが次第に知られてくるにつれ、ファースト・エイドでレメディを試してみるという人が増えているようです。
こうしたセルフ・ケアをキッカケに、多くの人がレメディの効果を体験して、ホメオパシーへの関心が高まるのは非常に喜ばしいことです。

アメリカでは、かつてホメオパシーが絶滅の危機に瀕していた間、セルフ・ケアで熱心に利用していた一部の民間の人たちが勉強を続けていて、これが近年の再興の大きな原動力になったようです。(ちなみにAMA(米国医師会)というのは、1847年にホメオパシーの隆盛に対抗するために設立されたそうです。そして彼らは成功しました)
日本でも、今後ホメオパシーが定着して行くためには、利用者(患者側)の関心・認識というのが、大きな下支えとなるものと思います。

最近、ホームページやブログ、あるいはネット・コミュニティ等で、セルフ・ケアの情報が結構提供されています。随分活発なサイトもあるようで、ビックリしてしまいました。また、大変豊富な知識をお持ちの方もたくさんいて、私が知らないレメディが出ていたりして、焦ったものです(苦笑)
しかし逆に不安も感じます。
セルフ・ケアを実践する人が増えるのは大変良い事だと思うのですが、正しい認識・方法論の下で行われないと、結果的に患者さんのためになりません。しかも情報の伝達は、正しかろうが何だろうが、インターネットではあっという間です。
このままで大丈夫かなぁ?という思いを最近抱くようになりました。

「レメディは安全であり、心身に優しい」
ということは、よく言われています。私も人に説明する時には、そう言うことが多いです。実際、正しく処方されたら、その通り、安全です。
また、ホメオパシーは対症療法ではないので、レメディを飲む事もまた対症療法にはならないと、殆どの人が考えているでしょう。
本当にそうでしょうか?
こういう言い方は、自己否定にもなりかねないのですが、あえてこの命題を立てたいと思います。
「レメディは必ずしも安全ではない」
これは事実です。特にホメオパシーを専門に勉強していない人が処方する時、レメディは広く言われているほど安全ではありませんし、場合によっては対症療法的に作用します。
対症療法的にも作用するということは、ホメオパシー的な治癒の概念からすれば、そういった処方は大変有害になります。

レメディは「健康な人に病気を引き起こす力があるもの」という大原則を忘れてはいけません。

セルフ・ケアには、落とし穴がたくさんあるのです。

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