ホメオパシーは何を治せるのか? ~ホメオパシー患者学1
【治癒が可能なもの】
1. 急性病(頭痛、中耳炎、喘息、腹痛、下痢、食中毒、乗り物酔い、出血、顔面麻痺、インフルエンザ・膀胱炎等の感染症、等)
2. 慢性疾患、皮膚の疾患、結石、アレルギー、リウマチ、現代医療では治療法が確立されていない機能性疾患等
3. 精神的な症状・疾患(不安、ADD、躁鬱、トラウマ等)
4. 妊娠・出産・子育て、または子供の問題(小児疾患、自閉症、出産・産後の問題等)
5. 男性・女性に固有の問題(インポテンス、月経不順、セックスの問題等)
6. 怪我の回復のサポート(現代医療による手当ても必要)
7. 現代医療のサポート(抗癌剤の副作用の軽減、予防接種の悪影響、手術後の回復を早める等)
ここには、いわゆる「病名」の類を並べていますが、別の記事で説明しているように、ホメオパシーは、その「人」を治癒しようとするものです。
しかし、これはホメオパシーの治癒のメカニズムであって、利用する立場としては、主訴が何かという事から始まりますので、こういった記載にしています。
ホメオパシーは、かなり幅広く適用が可能です。
他の療法同様、100%の効果を確約は出来ませんが、何かあった時に試してみる価値はある療法です。
もちろんその効果は、ホメオパスの技量、患者さんの置かれた状況により左右されますが、適切なレメディが見つかれば、その効果は驚くほど早く現れ、そして長期間持続します。くどいようですが、根本的な治癒をもたらすからです。
また、何らかの理由により十分な効果が得られずに、単に症状を和らげるだけで終わったとしても、その作用は心身にとても優しいものです。
急性病や、激しい発作を伴う慢性病の場合、現代医療によるリスク・ヘッジも必要です。ホメオパスは、患者さんの安全を確保する事を常に最優先します(するハズです)が、これもホメオパスのレベルや方法論が様々ですから、やはり最終的には自分の身は自分で守らなければなりません。
少なくとも、(現代医療の)薬を「今すぐ全部止めなさい」などと、明確な根拠・説明なしに言うホメオパスは避けるべきです。
ホメオパシーにより、激しいつわりや陣痛、出産時の不安、産後の回復等をサポートすることが可能です。レメディは元物質を希釈しており、胎児への物質的な悪影響がないため、妊娠中の女性でもレメディを飲む事が出来ます。ホメオパシー薬局でも、「Childbirth Kit」というのが販売されています。
しかし、主に経験不足からと思われますが、妊娠中の女性にレメディを飲ませる事をためらうホメオパスが少なからずいることも事実です。
また、小さい子供は色々な意味で純粋ですから、レメディに良く反応します。小さい頃から抗生物質やステロイド等で薬漬けにならないように、上手にホメオパシーを利用したいものです。イギリスでホメオパシーを学ぶ人は、圧倒的に女性が多いですが、子供の病気や育児の問題をキッカケに勉強を始めたという話を良く聞きます。
事故等による怪我が重傷の場合や緊急性の高い疾患の場合、現代医療による治療を最優先すべきです。この分野では、現代医療は絶大な威力を発揮しますし、ここにこそ存在意義があるのだと思います。重度の感染症についても同様です。
分かりきった事ですが、日本におけるホメオパシーの現状、代替医療という立場上、ホメオパシーを選択した場合、ホメオパスはもとより患者さんは社会的に守られていません。緊急性の高い怪我や疾患の場合、安全の確保が最優先であり、少なくとも今のところ、それは現代医療しかありません。まあ、いずれにしても、救急車はホメオパスの所には行ってくれませんが(笑)
また、病院等で適切な処置を受けた後にホメオパシーを利用すれば、より早い回復が期待できるでしょう。
例えば、Symphytum(シンファイタム)というレメディがあります。有名な骨折のレメディです。Symphytumは骨の再生を促します。このレメディは大変早く作用すると言われています。折れた骨が正しい位置に戻っていない状態でSymphytumを使うと、その間違った状態で骨がくっついてしまう恐れがあります。しかし正しく使えば、Symphytumは迅速に作用し、回復を早めてくれるでしょう。
(サッカー、フェイエノールトの小野選手とかに使ってもらいたいなぁ・・・才能のある人なのに、怪我が多いのが残念。ベッカムは、前回のワールド・カップの直前に足を骨折して、出場が絶望的と見られていたけど、間に合いましたね。彼もホメオパシーを利用しているそうです。Symphytumを使ったんじゃないかと私は睨んでいるんですが・・・)
【治癒が難しいもの/治癒できないもの】
1. 原因が、明らかに外部にあるもの。環境・衛生、食生活等の生活習慣等。但し、それらの問題の改善と平行して治療は可能。
2. 先天的または後天的な原因(手術・薬物・事故等)による、構造的に回復が不可能な臓器の喪失・損傷。
3. あまりにも消耗が激しく、自然治癒力(ヴァイタル・フォース)が残っていない状態。他の療法によるサポートが必要。
4. 癌(3とも関係)
ホメオパシーの創始者・ハーネマンは、Hygienist(直訳すると衛生学者)でした。彼は、病気の予防と衛生についての本も書いており、衛生状態を良くする事が、病気の予防に繋がると述べています。Hygieneには「健康法」という意味もあります。ここでは両方の意味を含んでいるのでしょう。現代風に言えば、ライフスタイルを改善する事が、健康の維持や病気の予防になると言っているのです。彼がこれを書いたのは200年以上前ですよ(笑)
逆に言えば、いかに有効な治療をしても、環境(生活習慣、衛生状態、人間関係等)が劣悪な状態のままであれば、根本的な治癒は難しいということです。
つまり、治療と「健全なライフスタイル」はセットなのです。ホメオパスはこの事を十分に理解しなければなりませんし、患者さんも、意識しなければならないことだと思います。
とはいえ、「分かってはいるけど、出来ないから困っている」という人も多いでしょう。こういった場合でも、レメディによって体調や精神状態が改善されれば、自分を取り巻く環境に対する意識も変わっていくことが期待できます。体調が良くなれば、ポジティブ・マインド、プラス思考も持ちやすいでしょうし、精神や感情が落ち着いてくれば、身体や行動の変化、例えばフィトネスやダイエットに取り組んでみようという気持ちも出てくるでしょう。いい循環が生まれる可能性があるのです。従って、色々な意味での環境が原因と考えられる病気でも、ホメオパシー+αによって、治癒に向かうことが期待出来るでしょう。
これはホメオパシーに限ったことではありませんが、ある臓器が著しく損傷を受けていて、組織として元に戻る事がないような状態や、完全に失われている場合、その喪失の影響によって現れた病気は、根本的な治癒が難しいということは容易に想像できます。
こういった時、ホメオパシーに出来る事は、不快感や痛みの軽減です。ホメオパシーではPalliation(苦痛緩和・一時しのぎ)といいます。ホメオパスは、その時が来るのを望みませんが、根本的な治癒が期待できない状況においては、患者さんを苦しみの中に置き去りにしないために、やむを得ずPalliationを試みることがあるでしょう。この場合でも、レメディによる方が、薬に比べて患者さんの身体の負担は少ないと思われます。
上記の様な場合以外に、現代医療の医師によって、「もう何もすることがありません(他に治療法はありません)」と言われたような場合、確かに状況は深刻ですが、現代医療の医師が「ダメ出し」をした病気が、ホメオパシーによって回復したという例がたくさんあります。またもちろん、他の代替療法でもたくさんあると思いますが。
[Andre Saine著“THE METHOD Lectures on Pure Classical Homeopathy”から]
20歳前後の青年。腎不全により両方の腎臓を移植し、更に3度目の移植手術を受ける。拒絶反応が起こり、透析の必要があったが出来ない状態だった。彼は、「これ以上何も出来ない」と医者に言われた。拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤を飲み続けなければならず、この薬のため肝不全に苦しんでいた。
Saineは彼を治療したが、このケースは望みが薄いと考えていた。
後に偶然再開したが、Saineは最初彼が誰だか分からなかった。彼の状態は著しく改善しており、免疫抑制剤も殆ど飲まず、腎臓は完全に機能しており、もはや腎不全の兆候は見られなかった。[Bill Gray著“HOMEOPATHY Science or Myth?”から]
あるホメオパシーのコースで、15年間全盲の医師に出会った。
彼は悪天候の中を運転中、大事故を起こし、同乗していた妻と2人の子供を失った。彼自身も10ヶ月に渡る集中治療と、頭部と顔面の怪我及び複雑骨折のためリハビリテーションが必要だった。言うまでもなく精神的なトラウマにも苦しんだ。その事故以来、かれは全盲となったが、それは脳の怪我と視神経のダメージによるものと診断された。
雑談の中でGrayらは、彼がArnica(アルニカまたはアーニカ)を飲んだ事がないという事に気付き、彼にArnica 1Mを飲ませた。
その晩、彼は生々しい夢の後に目覚め、時計を見た・・・そう、彼は本当に「見た」という事に気づいたのだった。
彼の視覚はそれ以降、急速に回復した。
過度の期待は禁物ですが、他に手立てが無いなら、試してみる価値はあるかもしれませんヨ。
癌については、私も注目しているところです。
ホメオパシーの文献を読むと、癌に効果があったという症例が数多くありますし、Ramakrishnanという人の書いた、“A HOMOEOPATHIC APPROACH TO CANCER”という本では、癌に対する独特の手法が紹介されています。
この本では、癌を治癒した例、延命できた例、抗癌剤の副作用の緩和、前癌状態への対応、ターミナル・ケア等、ホメオパシーによる癌治療の大きな可能性について、豊富なケースを元に検討しています。
私自身、去年再発のような症状に見舞われた時に、“Ramakrishnan Method”を少し変えて試したところ、著しい改善が見られました。まだ完全に回復したという感じはありませんが、少なくともある山は越した感があります。体調はいたって良好です。
個人的には、このメソッドにプラス・アルファが必要なのではないかと考えています。(また別の所で詳しく書くつもりです)
他にも、癌治療について書かれたホメオパシーの文献がいくつかありますので、少しずつ研究して行くつもりです。
何だかんだと、結局、ホメオパシーが良いことばかりの様に書いてしまった感がありますが、私自身、1人の患者としては、現代医療、ホメオパシー、アロマ・テラピー、漢方、整体、鍼灸、キネシオロジー、オステオパシー、自然療法、食事療法等々、良い所取りをすればいいのだと思っています。
但し、「良い、良い所取り」でなくてはいけません(笑)
食べ合わせや、薬の飲み合わせがあるように、各療法間でも相性の良し悪しがあろうかと思いますし、得意分野・苦手分野がそれぞれあるでしょう。利用者として、それらについて出来るだけ情報を集めて、効果的に利用するべきです。そしてホメオパシーは、それらの内でも有力な候補になると思います。
あとは、いいホメオパスを見つけることですね!
【参考文献】
‘Organon of the Medical Art,’ by Samuel Hahnemann, edited and annotated by Wenda Brewster O’reilly
‘Impossible Cure,’ by Amy L. Lansky
‘Yasgur’s Homeopathic Dictionary and Holistic Health Reference,’ by Jay Yasgur
‘PSYCHIATRIC PATIENTS Hahnemann and Psychological Cases Lectures on Pure Classical Homeopathy,’ by Andre Saine
‘THE METHOD Lectures on Pure Classical Homeopathy,’ by Andre Saine
‘HOMEOPATHY Science or Myth?’ by Bill Gray
‘Hahnemann Revisited,’ by Luc De Schepper
‘A HOMOEOPATHIC APPROAH TO CANCER,’ by A.U. Ramakrishnan and Catherine R. Coulter
‘Desktop Companion to Physical Pathology,’ by Roger Morrison
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