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2005年10月16日 (日)

ホメオパシーの治療を受ける前に ~ホメオパシー患者学2

【ホメオパシーを選択する前に考えて欲しいこと】
ホメオパシーに限らず、代替医療を選択する理由は色々とあると思います。
好みの問題、何となく薬が怖い、人の紹介、本や雑誌を読んで興味を持った、現代医療に見放された時・・・人によって様々でしょう。
ホメオパスはその理由に関わらず、そこにやって来た人を治癒しようと努力しますが、ホメオパシーが現代医療と全く違ったコンセプトを持っているため、患者さんがホメオパシーについて良く理解していない場合は、失望する事にもなりかねません。
予備知識なしにセッションを受けて、「こんなハズじゃなかった」「時間の無駄だった」。挙句の果てに「ホメオパシーなんて嘘っぱちだ!」というのはホメオパスにとっても、患者さんにとっても不幸な事です。
また、治療法の選択は、本来は本人のリスクであり責任です。ある治療法を選択して、結果が出ないことはしばしばあるでしょう。そしてそこには、色々な理由が考えられます。私は「ホメオパシーが効かない」と言われる事を恐れているのではありません。どんな療法でも、満足な結果が出ない場合はあります。結果が出ない時に、その療法自体を理由もなしに非難するというモードに入って欲しくないのです。大抵の場合、治療者のスキルの問題や、その病気に適した治療法でなかった事が原因であって、療法自体の問題ではありません。
こういう不幸を防ぐためには、あらかじめその療法がどういうものか十分納得してから治療を受ける必要があります。

現代はスピードの時代です。
現代医療(もうちょっと別の呼称がないもんかな~?かといってホメオパシーも“西洋医学”だし・・・)は、比較的結論が早いですよね。しかも結果が数字や写真等で表され、見やすい=分かりやすいことも事実です。
我々はいつの間にか、「現代医療は科学であり、科学的なことは正しい」と、なんとなく刷り込まれています。そこまで行かなくても、生まれた時から現代医療の存在が当たり前になっていますから、無条件に信じやすい傾向にあります。しかも、待たされる時間はともかくとして、診断はスピーディーです。さらに、診断や病名に治療法がリンクしているので、治療法や薬の選択が、これまたスピーディーです。そして病気や怪我が、現代医療による治療にフィットしている場合、治療=結果もまたスピーディーです。
我々は、この状況に慣らされています。「早い結果」を無意識のうちに望んでいます。
言うまでも無く、病気は早く治したいものです。
しかし、この医療に対する「日常感覚」をホメオパシーにそのまま持ち込むと、ガッカリすることになります。

慢性病や体質改善のためのホメオパシーのセッションには、通常、初回は1~2時間、人によっては3時間掛けるホメオパスもいます。2回目以降(フォローアップと言います)は、大分短くなり、初回の半分程度でしょうか。当然、状況によります。
このため、セッションを受けるには予約が必要です(このこと自体は、別に変わったことではありませんね)。その代わりと言ってはなんですが、待ち行列はありません。「3分医療」に辟易している人にとっては、かえって良いかもしれませんね。
ちなみに急性病の場合は、セッションの時間は比較的短くなります(電話で行われることもしばしばです)。

セッションを受ける部屋には、検査機器の類はありません。但し、そのホメオパスのバックグラウンドが鍼灸師だったり、カイロプラクターだったりすると、そういった診察室になるかもしれませんが、大体は、自宅の応接間といった感じです。
当然、ホメオパスは白衣を着ていません(笑)また、イギリスのホメオパス達は、ファースト・ネームで呼ばれることが殆どです。「先生(ドクター)」と呼ばれるのは、医師のホメオパスでしょう。余談ですが、ホメオパシーの学校でも、先生達はファースト・ネームで呼ばれています。尊敬できる先輩という感覚でしょうか。個人的には、この習慣は好きです。

ホメオパシーの診断では、X線等の検査機器は使いませんし、血液検査等もありません。診断は全て問診で行われます。
セッションが終わった時点で、病名が告げられることはありません。ホメオパシーでは、病名をつけるというシステムは持っていません。ホメオパシーの門を叩く患者さんは、殆どの場合、自分の病名を「持って」行きますので、あらためて自分の病名を知る必要はないかと思いますが、ホメオパシーの診断によって新たな病名がついたり病名が変わったりする事はありません。
診断結果が、数字や画像で出てくる事もありません。ホメオパシーでの診断結果とは、レメディです。
レメディは、セッションが終わるとすぐ出される場合もありますし、数日掛かることもあります。場合によっては、ホメオパスの目の前で飲むように言われる事もあります。

通常、初回のセッションから3週間~1ヵ月後にフォローアップのセッションを受ける事になります。この間、何か変化が起きたら電話をするように指示される場合もあります。
フォローアップでも、初回ほどではありませんが、ある程度時間を掛けて質問されます。その結果、レメディが変わることもありますし、再度同じレメディを指示されることもあります。
以降、ホメオパスが最適なレメディを見つけ、それにより健康状態に回復したと判断するまで、同じ様なインターバルでフォローアップが行われます。
最初のフォローアップ(つまり2回目のセッション)で、レメディが適切と判断され、患者さんの体調が著しく改善されていれば、3回目は無いかも知れません。しかし、大抵の場合、最低3回はセッションを受ける事になると思いますし、それ以上掛かることも多いものです。場合によっては数年掛かる事だってあるかもしれません。

「じれったい」とか「時間が掛かりすぎる」と思いますか?
「診断結果や病名が分からないなんて、あいまいで不安だ」と思いますか?
あるいは、「最先端の検査機器を使わないで、診断が出来るのか?」と思いますか?

ホメオパシーでは、現代医療のような、薬で症状を押さえ込んだり、手術で問題の場所を取り除いたりといた対症療法(Allopathy=アロパシーと言います)を行いません。原因と考えられる場所や症状に直接作用するため、現代医療による治療は、良く効くように見えますし、実際それで本当に良くなる病気もあるでしょう。しかし、薬を飲み続けなければならなかったり、一時しのぎにしかならない場合も多いと思います。また強い薬や手術、放射線等は、心身への負担も大きいものです。
ホメオパシーのコンセプトは、アロパシーとは反対です。但し、レメディ自体は、極めて迅速に作用します。適切なレメディであれば、です。
しかし最適なレメディを飲んでも、患っている病気、症状、その人の体質や取り巻く環境によって、回復のスピードには個人差があります。概して、長引いた病状は回復にも時間が掛かります。反対に、「ホメオパシー患者学1」で紹介したように、15年間見えなかった目が、一晩で見えるようになるといった、奇跡としか思えないようなことも起こり得ます。
レメディは、人間の自然治癒力を刺激して治癒を促すものです。レメディが作用するとは、自然治癒力に回復を働きかけるということです。症状を押さえ込むのではありません。
自然治癒力にも個性があります。その人の自然治癒力の働き具合に沿って、色々な改善や、場合によっては一時的な悪化(好転反応)が起きますから、回復のスピードにも個人差が出ますが、こうして起きる治癒は、自然なものであり、根本的な解決をもたらします。
またレメディは、個別の症状ではなく、その人の心身に現れた一連の症状のパターンや、その人独特の症状・個性といったものを総合的に反映するもの、つまり、その人の全体像に最も似たもの(SimilimumまたはSimillimum=シミリマム)が使われます。
ホメオパシーの名前の由来となっている「似たものが似たものを治す」という法則の基に選ばれるレメディと、「病気があるのではなく、病気の状態の人がいる」という考えに始まり、身体だけでなく精神的・感情的な要素を重視するといった独自の哲学や、じっくりと時間を掛けて行われるセッション等が一体となって、ホリスティックな体系になっているのです。

現代医療が先端機器を使って検査をするのは、システムの都合です。現代医療のシステムは、病気の場所や原因を特定し、対応する病名を探し、場合によっては病名をつけ、その病名に対応する治療法を選択するというものです。
ホメオパシーは、患者さんが自覚している症状、それに対する感覚、気分や性格といった、いわば主観的な情報と、ホメオパスの客観的な観察をもとにレメディを選択します。極めて人間的な作業、考えようによっては原始的な方法ですが、これもまたシステムの都合です。ホメオパシーでは、検査数値や、内臓そのものの画像といったものを、レメディの選択に使うような仕組みにはなっていないのです。

しかしながら、患者さんからの主観的な情報とホメオパスの観察から有機的な関係を見出し、レメディを探すのは大変な作業です。多くのホメオパスやホメオパシーを勉強した事のある人が、「ホメオパシーは難しい」というのは、この点にあります。
レメディを見つけるとは、「体型にピッタリと合い、かつ自分の好みや目的、さらには予算にもバッチリと合ったオーダーメイドのようなスーツを、既製品の中から探すようなもの」です。最初に手に取ったものがそうかもしれませんし、何軒もお店を回らなければならないかもしれません。レメディの場合、それをホメオパス(=他人)に委ねる事になります。しかし一度見つけてしまえば、以降は同じメーカーやブランドのもので済むことが多いでしょうし、買ったお店から顧客セールの招待状が来て、お値打ち物が買えるかもしれません(笑)

ホメオパシーのこのような特性を、患者さんも十分に理解した上で利用しなければなりません。
患者さんがフォローアップに来ないパターンは、概ね2通りあります。
1つは、最初のレメディですっかり良くなってしまって、もう診察は必要ないと思ってフォローアップに行かないという、Happyなパターン。
もう1つは、何も起きなかったり、病状が悪化したりして、「やっぱりホメオパシーは効かない」とすぐに諦めてしまう、Unhappyなパターンです。

よく言われるように、「患者」とは英語でPatientといい、Patientには、「辛抱・忍耐」という意味もあります。病気の治療にはある程度忍耐が必要という意味が含まれているのかもしれません。ホメオパスもまた、辛抱強く、そしてあなたの健康回復のために、あなたの立場に立って治療を考えます。あなただけに辛抱を強いる事はしません。あなたの健康へのガイド・ツアーのガイドのようなものです。
ガイドも、時折道に迷うかもしれません。予定より時間が掛かるかもしれません。思ったより天気が悪いかもしれません。あなたがわがままを言うかもしれません(笑)。しかし常に安全に目的地にたどり着ける様、ガイドは辛抱強く努力し、あなたと共に歩きます。不安や不満を感じる時もあるかもしれませんが、あなたも辛抱強くガイドについて行ってみてください。
そして最終的には、旅の主役はあなたです。あなたはガイドを使わずに、またはクビにして1人で歩く事もできます。しかし良いガイドに出会えたなら、あなたの旅はスムーズで、楽しく、エキサイティングな、素晴らしいものになるでしょう。

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