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2008年10月28日 (火)

乳がんと牛乳

出ましたよ~!

乳がんと牛乳──がん細胞はなぜ消えたのか
ジェイン・プラント著 佐藤章夫訳 径書房

この手の本が、私が友人と険悪になる元だったりするのだが・・・
(この本はほんの一部だけど)

著者はイギリス人の乳ガン患者で、地球化学者である。
自らの進行がん(再発4回!)を克服するため、命懸けでガンを研究したのだ!

本書がイギリスで発売された2000年当時、正統派の医師、患者支援団体、栄養関係者から批判・非難の嵐が起こったそうである。
そりゃ、そーだろう。乳製品が健康に悪いと言っている訳だからね。

ところが、2005年に、本書を初めとする医学関連書の出版によって、医学に大きく貢献したという理由で、医師でない著者が英国王立医学協会の終身会員になったという。

タイトルの乳ガンだけでなく、卵巣ガン、前立腺ガン、その他多くのガンの発生に対しても、乳製品が重要な役割を果たしていると書いている。

本書には、上記のごとく幾多の批判がなされたそうであるが、
2000年初版の内容に一文たりとも変更を迫るような科学的事実を提示されたことはないと、著者は言っている。

以上は、日本語版序文を参照。

私は今まで、牛乳が悪影響を及ぼすという理由は、
乳糖不耐症、カルシウムの摂取に関する誤解、脂肪やカロリーが多い、牛を病気にしないために使う抗生物質等の薬物(身体の脂肪分=お乳に溜まる)、生物学的構造(成人になっても乳を飲むのは人間だけ、乳糖を消化する能力は成長するにつれ失われる=乳糖不耐症)、疫学調査(乳ガン、前立腺ガンのリスク増大)・・・という認識だった。

本書で学んだのは更に、インスリン様成長因子1(IGF-1)とエストロジェンの関係であった。
やはり、ホルモン等の微粒物質は侮れない
生殖器系の疾患にホルモンが影響する事は容易に想像出来るし、ホルモンが身体のみならず、心にも影響する事を考えれば、過剰摂取によるホルモン撹乱が何をもたらすのかを、もっと注意深く見つめなければなるまい。

その他、詳しい事は本書を読んでいただくとして(ネタバレはしないように)、
もうご想像の通り、私が言いたいのは、こういう著書を前にして、どう行動するのか、それが大事だという事である。

もちろん、私は牛乳を止めることを強要するものではない。
個人のリスクとベネフィット、そして嗜好(人生観)に照らし合わせて判断すれば良いと思う。
まあ、親しい人で、どうしても牛乳好きな人に言うとすれば、嗜好品として少量たしなむ程度に心掛ければ良いんじゃないの・・・という感じか。

ただ、考えるべきは、それがないと生きて行けない(生き甲斐ではなくて生存として)ものなのか?
必須のものでないなら、環境や食糧問題をも無視した上で、更にリスクを取ってまで、常用ないし多用する必要があるのか?ということである。

私は食文化というのも大事なものだと考えているので、乳製品を撲滅せよとは言わない。
だから文化として残す分だけ消費すればいいんじゃないかなーと思う。
まあ、どの程度?と言われると答えに窮するが・・・(苦笑)
行楽地のソフトクリームとか、あったらいいよね。私はそこまで野暮は言わないよ。
たまにワインを飲む時に、ちょこっと美味しいチーズがあるのもいいんじゃない。

文化という見方をすれば、何でも食べられるというのも、現代の食文化とも言える訳で、異論はたくさんあろう。
しかし、食品偽装や農薬混入、食糧危機、あるいは地球全体の資源の枯渇が叫ばれている昨今だから余計に、嗜好品・贅沢品と日常品の区別って、逆に文化的にはどうなの?とぼんやり感じるのだか、そんなの私だけであろうか?
いつの間にか、毎日がご馳走になってるんだよね。
もはやアメリカ型資本主義による大量消費の時代は終わろうとしているんじゃないか?

私もガンにならなければ容易に腑に落ちなかったかもしれないのだけれど、著者の、「古来、日本には、牛乳を飲み、乳製品を食べるという習慣はなかった。近年の乳・乳製品の消費増大が乳ガンや前立腺ガンの増加をまねいているという事実を直視して欲しい」という言葉に、もっと多くの人が耳を傾けるようになって欲しいものである。

乳ガン検診のキャンペーンも結構なのだが(私はピンクリボンついては言いたいことがある)、本書に記載されているような別の視点を取り入れることも必要であろう。

女性である著者の、「世界中のすべての女性が乳ガンにならないために、万が一、乳ガンになってしまったら再発・転移を防止するために、本書を活用してくれることを願っている」という声が、少しでも多くの人に届きますように!

患者が変わらないと医療は変わらない。消費者が変わらないと製造者(供給者)は変わらない。
ひとりひとりの価値観や行動の変容が、やがては社会全体に変化をもたらすのである(はじめにより)。

懲りてから変わるよりは、積極的に変わる方が気持ちいいんじゃない!?

P.S.
骨シンチの直後には、コーラを飲むと良いそうだ。
造影剤(?)として飲む放射性のジホスホン酸テクネチウムを体外に出しやすくするそうな。
但し、普段飲む事を勧めてはいない(笑)
たまに飲むと美味しいけどね・・・私は年に1、2回ぐらいか。。

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コメント

こんにちは、

乳製品に関しては、やはり議論になるところですよね。家でもほどほどにしてます。でも、チーズやピザは家族が喜びますね。それに潤います。

でも、おいしいものって年に数回食べることで、より価値が実感できるというのもありますね。毎日、好きなもの食べて、それが実感できなくなったのが、よくあるアメリカンな体系ですね。あれは、ダブルパンチですよ。

mammaさん

カメレスですみません。。

一度獲得したものは、棄てるのが難しいのですよね。
特に快適(美味しい)だったりすると

まあしかし、一度、色々なもののバランスを見直す時期に、世界的に、来ているかな~と感じます。

亀レスです。
酪農の盛んな地域に住んでいます。
ある時新聞に「保守系党員新聞に、牛乳を飲むことでがんを発症させるリスクが高まるという論文がアメリカで多数出ているという内容の記事が掲載された。党員に酪農家が少なくないので、ある保守系議員がそのような記事は載せるなと抗議した。」という記事が小さく小さく載りました。
記事の内容が事実無根であるとの抗議ので、内容は事実なのかな?と思いました。
次の日、新聞1面にでかでかと「牛乳は体にいいからもっとたくさんのみましょう」という記事が出ました。
上のブログでやっぱり牛乳とガンの関係は事実だったんだとわかりました。ようやくすっきりした感じです。ありがとうございました。

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