セルフケア4
「レパートリーは完全ではない」
この話題は、別にセルフケアの方に持ってこなくても良いのですが、ホメオパスやホメオパシー学生以外の人が、結構レパートリーを使っているようですので、あえて書いてみたくなりました。
私はセルフケアにおいては、レパートリーを使わない方が良いと考えています。
むしろ、セルフケア用として一般向けに書かれた本を参照すべきと思います。
理由の一つは、そういう本に書かれている範囲の疾患までをセルフケアの対象とすべきという考えがありますが、最大の理由は、「レパートリーを使いこなすのは難しい」ということです。
なぜ難しいか?
まず、レパートリーの方法は何通りも技法(?)があります。それらは得てして、ケース・テイキングの方法論と連動しています。
これを読んで全然ピンと来ない人は、大概レパートリーを使いこなせないと思ってください。
あなたは、いくつのRubricを取りますか?
既にお気付きになっている方も多いと思いますが、Rubricを多く取れば取るほど、殆どの場合、ポリクレスト(Polycrest)と呼ばれる「大きな」レメディばかりが上位に来る事になります。
20も30もRubricを取れば、結果は大体、Sulph(サルファー)、Lyc(ライコポディウム)、Calc(カル・カーブ)、Sil(シリカ)、Phos(フォスフォラス)、Puls(プルサティラ)、Lach(ラケシス)・・・あたりになってしまいます。
大体何個のRubricを採用するかについても、色々と方法論があるのです。
あなたは、自分の症状や状態にピッタリ合ったもの(Rubric)を、レパートリーの中で全て発見できましたか?
レパートリーは完全なものではないのです。
あなたが感じていること、持っている症状、全てがレパートリーにあるわけではありません。
そもそもRubricは、色々なレメディが共通して持っている症状を、辞書の見出し語の様な形でまとめたものですが、この編集過程あるいは翻訳過程で、個別性が若干ないし相当失われます。
例えば、Complete Repertory 2005というレパートリーに、「MIND-DANCING-desire for」というRubricがあります。
「踊りたい」とか「踊りたい欲求」といった症状・状態ですね。
ここには、60個のレメディが載っていて、その内最も強い(Bold)のは、Carc(カシノシン)とTarent(タレンチュラ)です。
さて、この2つの「踊りたい気持ち」の違いが分かりますか?
何ゆえCarcの人は踊りたくなるのでしょう?何ゆえTarentの人は踊りたくなるのでしょう?
あるいは、Sep(セピア、シィピア)の踊りたい気持ちは、どこから出てくるのでしょう?
それぞれバックグラウンドが違うのです。
ただ「趣味がダンスです」というだけで、このRubricsを採用するのが適当かどうかは、単純に判断できませんし、採用しても、出てきたレメディの違いを区別できなければ意味がありません。
Rubircは便利なものですが、それ単独では重要な情報が失われているのです。
つまり、レパートリーは辞書としての語彙数も、それぞれの見出し語(Rubric)の情報も不完全なものということなのです。
それでもレパートリーはなくてはならないツールです。
ホメオパシー学校では、これをどのように効果的に使うかを学びます。
逆に言いますと、そういった事を知らずに使うと、大きな間違いのモトともなり得ます。
ですので、学校等でレパートリーの使い方を学んでいない人は、セルフケア用の本を読み込んで、そこに書いてある疾患についてだけセルフケアの対象にするというのが、安全な方法だと思います。
それらの本には、セルフケアに良く使われるレメディのちょっとしたマテリア・メディカと、疾患別に良く使われるレメディが載っているハズです。
まずは、これらを「使いこなす」ことを目標にしてみてください。
使いこなすとは、「使わないこと」を学ぶことでもあります。
これらの本を参照して、「おぉ~、バッチリ!このレメディ象だよー」と腑に落ちる状態でなければ、レメディを使うのを待ってください。
少なくとも、何回もリピートするのは避けるべきです。
じゃあ日本語の本では、どの本がいいんだ?と言われると困っちゃいますが、こういった注意点(レメディの選び方、レメディを使う・使わない状況等)もちゃんと書いてある本を選ぶべきです。
レメディーは安全で副作用がないから、どんどん使えなんて書いてある本は、やめた方がいいですよ。無いと信じてますが(笑)
英語の本では、
「The Complete Homeopathy Handbook」Miranda Castro著
「The Family Guide to Homeopathy」Andrew Lockie著
あたりが良いと思います。
これらには、疾患別のセルフケアの注意点(ホメオパシー以外の)についても書かれています。
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